コロナ放電表面改質装置
一般に表面エネルギーが低い物質は、親水性、あるいは接着性が悪く、その結果インキ等の濡れ性も悪いということになります。
そのため表面エネルギーが低い物質に印刷あるいは、他の材質を接着しようとする場合、その表面を活性化させて表面エネルギーを高くしその作業を補助する前処理が必要となります。
この技術を「表面改質技術」と称します。
このページでは「コロナ放電」による表面改質方法を記述しています。
コロナマスター
コロナ放電表面改質処理は、フィルムシートや金属箔にとどまらず、繊維・不織布・シリコンゴムやプラスチックの成型品などの表面改質に利用されており、TABテープなど、さらに多くの分野での用途開発が期待されています。
コロナスキャナー
コロナスキャナーは、従来からのコロナ放電改質装置電源部コロナ・マスターに新しく取り扱いが簡単なオートスキャナー(半自動コロナスキャニング機器)を付け加えて、A4サイズ(標準)の紙・シリコンゴムシート・樹脂フィルムシート・不織布・金属箔・ガラスなどの表面を、秒単位で素早くしかも均一に改質処理を可能とした簡易装置です。
コロナ放電表面処理
空気中に距離(t)を一定に保った、二つの金属体(電極)を置き、両電極間に高電圧発生器(E)をつなぎます。 次に、電源の電圧を徐々に上げていくと、ある値で音と光を伴った光条が電極間に見られます。(図-1をご参照ください。)

高周波高電圧の気中では、電解内にて原子、分子、電子イオン間でのそれぞれの衝突、電子エネルギーの励起(激しく動く)等が起こり、さらに光子の放出が起こります。
この時電極の近傍(周り)にて発光している放電状態を概観から見て、コロナ放電(左写真 紫部分)と名づけています。
このコロナ放電のエネルギーを物質に作用させると、その表面がエネルギーを受け、表面エネルギーが高くなり、活性化された状態(ラジカルな状態)になります。

さらにプラスチック等では、表面にカルボニル基等の極性基が生成され、濡れ性が向上することになります。
また、この活性化された状態の時接着すると、その接着力は驚異的に増加します。

このコロナ放電表面処理後、空気中に晒した状態(放置)にすると、そのエネルギーを緩やかに放出し、空気中の分子と反応して、表面エネルギーの低い元の状態に時間の経過と共に自然に戻ります。
コロナ放電表面処理
接着の基本は、接着剤が被着体によく濡れることです。 濡れの程度は、被着体に水滴を落とした時、その水滴と被着体との間にできる接触角によって表されるか、その表面エネルギーの値で示されます。 これらは簡単に用いる事が困難であるため、代わりに目安として“濡れ張力試験法”等が使用されています。
濡れ張力試験法(JIS K6768)
市販されている濡れ張力試験用混合液22.6mN/mから73mN/m(数値の大きいほど親密性が向上する。)を綿棒に浸し、それを被験体の表面に塗布します。
この時撥水すること無しに、ベッタリ濡れる試験用混合液番号の最小値を濡れ性指数としています。
ただし、この方法は付着力を表すものではありません。
下表は当社において調査した、改質前と改質後の濡れ指数の結果です。
(コロナ放電による表面改質のデータです)
プラスチックの改質データ | 単位:濡れ指数 mN/m | ||||
---|---|---|---|---|---|
素材名 | 電圧 | 改質前 | 0.05秒 | 0.1秒 | 0.5秒 |
ポリウレタン | 12Kv | 31 | 39 | 41 | 54 |
ポリエチレン | 31 | 47 | 50 | 54 | |
PET | 31 | 45 | 54 | 54 | |
ポリエステル | 36 | 40 | 50 | 54 | |
ポリスチレン | 36 | 45 | 52 | 54 | |
ポリサルホン | 35 | 54 | 54 | 54 | |
ポリアミド(ナイロン66) | 40 | 51 | 54 | 54 | |
ポリアミド(ナイロン6) | 38 | 54 | 54 | 54 | |
ポリアセタール | 34 | 40 | 50 | 54 | |
アクリル | 38 | 50 | 54 | 54 | |
ポリプロピレン | 33 | 52 | 54 | 54 | |
ポリプリピレン | 31 | 44 | 54 | 54 | |
テフロン | 31 | 36 | 39 | 44 | |
シリコンゴム | 31 | 31 | 32 | 41 |
金属の改質データ | 単位:濡れ指数 mN/m | ||||
---|---|---|---|---|---|
素材名 | 電圧 | 改質前 | 0.05秒 | 0.1秒 | 0.5秒 |
黄銅 | 10Kv | 37 | 52 | 54 | 54 |
銅 | 37 | 52 | 54 | 54 | |
アルミ | 34 | 38 | 54 | 54 | |
SUS 304 | 35 | 37 | 47 | 54 | |
SUS 631 | 35 | 40 | 45 | 54 | |
クロームメッキ | 33 | 39 | 54 | 54 | |
ニッケルメッキ | 33 | 48 | 54 | 54 |
コロナ放電表面処理
■ スクリーン印刷など、素材へのインキの親水性、付着性の改善、向上。
■ 撥水性素材への接着剤の密着性の向上、及び接着力の強化。
■ 塗装特性、コーティング特性、蒸着特性、ライニング特性の向上。
■ あらゆる接着の特性向上、及び接着力の改善強化。
コロナ放電表面処理には容易に改質できる素材と、改質可能であるがコロナ放電電解を与える時間を長くとる必要のあるもの、または改質するがその効果が小なるものなど多種多様あり、実際には予備テストが必要になります。 詳しくはお問い合わせください。
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